坂口安吾|飛騨・高山の抹殺 ⑥|両面宿儺とヤマトタケルの類似性

坂口安吾 の 新日本地理「飛騨・高山の抹殺」について。(その ⑥)

安吾の新日本地理:飛騨・高山の抹殺 ⑥

「安吾の新日本地理:飛騨・高山の抹殺」というお話は、「青空文庫」で、読むことが出来ます。

\ 全文はこちら /

おねがい:古代飛騨ついて
飛騨の口伝 をはじめとした「古代飛騨」の話は、えてして「飛騨の何かを隠したい相手」への 批判 を伴いがち です。

私としては(当事者ではないからこそ言える事ではありますが)何か や 誰か へ対する 批判 は 目的としていません。

その点を、ご理解の上、読んでいただけると有難いです。

前の記事:その ⑤
次の記事:その ⑦

「白黒の文字」だけだと、情報が上手く入らない「ポンコツ脳」なので、自分の為にちょっと整理してみました。↓↓↓

両面宿儺とヤマトタケルの類似性

青空文庫編:安吾の新日本地理:飛騨・高山の抹殺――中部の巻――坂口安吾

↑↑↑ 上記の内容に「改行」「空白」「…」「リンク」「補足」「画像」等 をプラスさせていただきました ↓↓↓

前の記事:その ⑤

赤:飛騨国・緑:東山道(引用:Wikipedia

※ 「斜体」が「坂口安吾」の文章です。↓↓↓

両面スクナは その形がシャム兄弟(一卵性双生児の背中がくッついて一体となったもの)のようですが、

神話には あらゆる畸形の怪物が 現れますから、それらの何かは 現実の畸形児に 当然似ますけれども、

もともと 神話はツクリゴトで、そッくり 現実的に 解すのはなるべく避けるのが 自然でしょう。

私は 千光寺の両面スクナ堂 でこの像を見ましたが、背中合せに同じ一体の人間が一体になっております。

前後両面全く同じです。

そしてその頭は 神功皇后のカミのような 男装の女だか、女装の男だか 分らんような ふくよかな美貌 でしたよ。

書紀によると「力が強く早業で、四本の手で二ツの弓を同時に射た」とあります

…が、このスクナの像は弓を持たずに、斧をもっております。

そして、他の ヒダ の スクナ像 も 必ず斧を持ってる 由です。

両面という意味は 山上に住んで 両側の 二国を支配 した意 と解すのが郷土史家の定説の由ですが、

穂高乗鞍 か、

または 立山 から 御岳 を結ぶ 尾根全体を 神の住居として両側の美濃(ヒダは大昔はミノと一ツの国でした)と信濃の両国を…

否、両側の 日本全て を支配していた と、見るのは当を失したものではありません。

しかし、一体二面を シャム兄弟と見るのは コジツケすぎるが、ただの 双生児 かも知れない と想像することはできます。

そして 古代史に現れる 双生児 の中で 一番有名なのは 大碓オオウス ・ 小碓オウスのミコト。

その弟、小碓 の方は 日本武尊 のこと です。

そして、このミコトが東征の時、天皇が センベツ に  を与えたのは有名 な話。

しかし、これをオノマサカリと支那の字義通りによんではならぬ、単に センベツの ミシルシと読み解するように…と、後世の学者は 妙な読み方をでッちあげていますが、斧 は当然 でしょう

書紀は そうでもありませんが、古事記 によると、この ミコトの運命は悲惨 です。

熊襲クマソ征伐 の時も 天皇自分を殺すために 旅にだすのだ と嘆き、東征の時にも いよいよ自分は生きて帰れぬ、天皇は 自分を殺すツモリだ と 嘆いています。

そのとき ミコトに刀を与えたりして励ましている のは、伊勢熱田 の 斎宮 の皇女 ですが、

さて 双生児の一方はというと、書紀 の伝えでは 天皇が兄をよんで、熊襲は 弟の日本武尊が平げたから 東のエミシはお前がうてと 命ぜられたが 弱虫の兄は 顔色を失ってしまったから、そんな弱虫は勘当だと ヒダへ流された という。

そして この皇子は 守君 と ムケツ君の祖 だと云うてますが、ヒダへ流されてからのことは 何も伝わっていません。


古事記によると、ミノの 神大根王カミオオネミコ の娘に 兄ヒメ 弟ヒメ という 姉妹の美人 があるときいて 天皇が二人の美女を連れてくるようにと大碓命 をつかわした。


宗慶大塚古墳※】住所:岐阜県 本巣市 宗慶
※ 神大根王 または その子孫の墓

ミコトは 二美人と仲よくなったあげく ニセモノを天皇にさしあげて 自分は二美人とたわむれて 朝礼も怠ったから、日本武尊に命じて 兄に朝礼するよう忠告せよとつかわされた。

日本武尊は その兄を つかみ殺しひきさいて棄ててしまった から、天皇は その蛮勇を怖れ、諸国の悪者退治にだして 殺そうとされるに至ったというのである。

ミノは 当時は ヒダ も含めてミノであるから、記紀いずれの説にせよ 兄大碓ヒダ の地と深いツナガリがある のです。


猿投神社】住所:愛知県 豊田市 猿投町 大城5

しかし大碓命の ヒダの伝えや 跡は殆どなくて、三河の 狭投サナケ神社 の縁起に 大碓命はサナケ山で 毒蛇にかまれて死に 当社にまつる、とあるそうです。

<メモ>
狭投サナケ神社 = 猿投サナケ神社

ここで注意すべきは、古事記の 景行天皇紀 というものは 大碓・小碓 双生児のみならず、主要な登場人物が必ず二人分身的な兄弟姉妹 であることで、日本武尊 の退治た 熊襲兄弟大碓命の愛した娘姉妹である。

そして、日本神話には、兄弟、姉妹、二組ずつの話は 甚しく多い が、特に この類型の 甚しいのは 神武天皇紀 に見られる のであります。

このように 主役がそろって 相似の二人 であることは 二人合せて一人 であることを意味する場合もあるだろうと思います。

もっとも フィクションの作法 から云うと、分身の一ツが 真実を解く暗示 であって、暗示の役割の方は 端役的で 目立たない。

他の一方の、つまり 暗示のカギで解かれる人物の方は 表向きの主役であるが、これは 真実が歪めて あって、その分身の暗示することをカギとして解明しうるものが 真相 であるらしい。

たとえば日本武尊が 景行天皇にうとまれて 天皇は彼を殺すために 諸方の 悪者退治にだされたというのは、表向きで、

実際は 兄大碓命が暗示するように、彼は ヒダミノ に住み、ヒダミノの王女と結婚して諸国を平定しつつあった 豪傑 であり首長 であった。

古事記の伝えが 天皇に殺意あり と云うのは、景行とは 血のツナガリなく、実は 本来 敵として対立する 両氏族の 両首長を意味する らしいのですが、そのわけは後の方で明かになります。

※ ↑↑↑「斜体」が「坂口安吾」の文章です。

次の記事:その ⑦

関連場所の地図

参考サイト

安吾の新日本地理:飛騨・高山の抹殺 ④|まとめ

前の記事:その ⑤
次の記事:その ⑦

以上、

「安吾の新日本地理:飛騨・高山の抹殺 ⑥」についてのブログ記事でした。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です