坂口安吾 の 新日本地理「飛騨・高山の抹殺」について。(その ⑦)
- ① 飛騨には重要な古代史記事がない?
- ② 古い交通路は海ではなく山だった?
- ③ 飛騨の諏訪 と 信濃の諏訪
- ④ 山を越えて飛騨から穂高(信濃)へ
- ⑤ 両面宿儺は日本の主であり大和の敵?!
- ⑥ 両面宿儺とヤマトタケルの類似性
- ⑦ 日本神話は「二面性の暗示」だらけ
- ⑧ 重大な史実は各地へコピペ分散?!
- ⑨ 美濃(岐阜)は古代地名原形の宝庫?!
- ⑩ 身内のケンカと日本神話
- ⑪ 元明天皇が行った妙テコリンな事
- ⑫ 壬申の乱に出てこない飛騨
- ⑬ 敗者の大友皇子と蘇我赤兄
- ⑭ 飛騨と大和と廣瀬と龍田
- ⑮ 大津皇子と美濃トキミチツクリ
- ⑯ 死をまぬがれる聖泉
- ⑰ 謀反と飛騨千光寺と両面宿儺
- ⑱ 両面宿儺と飛騨の匠
・「坂口安吾:飛騨・高山の抹殺」記事一覧
※ 当記事は、上記シリーズ「⑦」です
安吾の新日本地理:飛騨・高山の抹殺 ⑦
「安吾の新日本地理:飛騨・高山の抹殺」というお話は、「青空文庫」で、読むことが出来ます。
\ 全文はこちら /
が、私がこれらを記事にする目的は「誰かや何かへ対する批判」ではありません。
複数の立場から書かれた異なる伝承(「記紀」含む)の内容から「そうした言葉が残された背景を知りたい」という思いがメインです。
その点を、ご理解の上、読んでいただけると有難いです。
(堅苦しくなりましたが、要は「和やかにいこうね」っておねがいです)
「白黒の文字」だけだと、情報が上手く入らない「ポンコツ脳」なので、自分の為にちょっと整理してみました。↓↓↓
日本神話は「二面性の暗示」だらけ
・青空文庫編:安吾の新日本地理:飛騨・高山の抹殺――中部の巻――坂口安吾
↑↑↑ 上記の内容に「改行」「空白」「…」「リンク」「補足」「画像」等 をプラスさせていただきました ↓↓↓

赤:飛騨国・緑:東山道(引用:Wikipedia)
※ 「斜体」が「坂口安吾」の文章です。↓↓↓
日本武尊 をこういう方と見ると、ヒダに伝わる 両面スクナ の一生に似てくる。
両面スクナを 退治したのは仁徳 65年、武振熊 であるが、この人物は その百何十年前の 神功皇后 時代 にも 他にただの一度だけ 史上に現れて、この時は 武内スクネ の命令で 麛坂皇子、忍熊王 の 二兄弟を殺している。

(麛坂皇子 の「麛」拡大)
この二兄弟は 仲哀天皇 の次に 皇位に即く筈のところ、神功皇后 は 仲哀の崩御を隠して 他に知らせず、それは 誰か他の人に 皇統をつがせる手段らしく思われたので 二人の兄弟は 反乱を起した。
そして兄は 山中で 赤猪 に殺され、(山中で 白猪 に会ったのが落命のもととなった 日本武尊 に似ている)弟は 武振熊 にあざむかれて武器をすてたところを 敵軍に追いつめられて ビワ潮へ 身投して自殺し、長く屍体があがらなかった。
この最後は 日本武尊の屍体が 白鳥となって飛び去り、墓がカラ だというのに 半分だけ似ています。
尚、先帝の 仲哀天皇 自身 も 熊襲退治 のとき 敵の毒矢で死 に、これが ヒダ の スクナ伝説 の スクナの最後(敵の矢で死ぬ)に半分似ているし、兄大碓が サナケ山で 毒蛇にかまれて死んだというのにも半分似て、矢と毒を合せると同じ一ツになる。
なお 似た話は タクサンあって 全部はとてもここに書ききれません。
武振熊 は 国史上に たッた二度 それも百何十年も距てて 突如二度だけ現れて 忍熊二兄弟 の一方を ダマシ討ち にし、次に 両面スクナ を退治 しています。
二度しか 現れんのも 双児や 兄弟と 同じ意味や 同じ原則を示していると 解し得るでしょう。
そしてまた 双生児や その類型の兄弟は 一方が 他の一方の カギの暗示 である場合もあるし、兄弟二人の運命が まったくアベコベ であるという 意味を寓している場合もあって、つまり一方は 被害者、一方は 加害者の アベコベの二つを示す意味もある。
つまり 日本武尊 は 熊襲兄弟を殺した。
その殺し方は 女に変装して安心させておいて刺し殺した。
ところが 武振熊は 忍熊王をだまして 武器をすてさせて殺した。
全く同じです。
しかも 熊襲タケルは 死ぬ時にミコトに向い、自分が 一番強いと思っていたらあなたはもっと強いから 私の名の タケル をとって日本タケルとよびなさい と自分の名を彼に伝えさせている。
それは 熊襲タケル の運命を そッくり負うてるものが 日本武尊 でもあって、つまり 日本武尊 が 実は クマソと同じ運命の人 であると暗示している如くにも解せられる。
そして 両面スクナと 忍熊王 とはともに 武振熊 によって殺されているが、スクナ は 熊襲タケル的に、忍熊王 は 猪に殺された兄の方と合せると日本武尊的に殺されている。
これを綜合すると クマソを殺した日本武尊は、自分が クマソを殺した方法で 武振熊に殺されてる。
また 武振熊に殺された スクナは、書紀 では 日本武尊 に殺された クマソ的 であるが、ヒダの伝説では 日本武尊 の殺され方と同じで、
要するに 日本武尊兄弟、忍熊王兄弟、両面スクナ は同一人物 で、スクナは 一体で顔二ツ というのが変っているだけですが、このことは、これらの 兄弟の神話は 二人一組で一人をさし、もしくは、たった一人の史実を いろいろの兄弟や 双児の二人組にダブらせて、その綜合で その一人の真相を 暗示していると見ることもできます。
ほかに 兄弟神話 は というと大ナムチ と スクナヒコナ が同一神の 大国主 をさしているらしいのが 神話中 の 第一の大物で、次に 神武天皇紀 が登場人物の多くにわたって両面的に、フタゴ的である。
神武天皇自身 すでに 五瀬命 という兄があって、神武と共に力を合せて戦ううち 日本平定直前に チヌ山城水戸で 敵の矢に当り、古事記によると 途中血だらけの手を洗ったところを 血沼チヌ海と云い、人に負われて 紀国男水門に行って 雄叫びをあげて死んだ と云うが、書紀は 紀伊カマ山まで行って死んだ。
とにかく死に場所はハッキリしないが、その カマ山に葬った とある。
これも 両面スクナの 正史 と 伝説 の両面、つまり 正史 においては クマソ・日本武尊 の二ツによく似ています。
五瀬命は 恐らく 伊勢大神宮 の重大な隠し神様、荒ミタマ だろうと思います。
そして 実際は 今の天皇系 ではなく反天皇系 の大親分の運命を 暗示する一ツでもあって、伊勢が 内実はそういう面をもつ神でもあることは、伊勢 と 吉野 と 近江、それから 隠され里 のような ヒダ 、スワ 等 のその後の史実が 語っております。
つまり主として 天智後 の戦争のたび、又は その 平定後、そして 平安京 が本当に安定する頃までの 期間というもの、それらの国々に対し、またその時々の事情に対応して 朝廷方 からワケの分らぬ方法で 利用 だか 慰撫 だか オベッカ だか 判断しにくい待遇 をうけているので見当がついてくるのであります。
それは 後で説明しますが とにかく、伊勢 は ここに祭られた神 の 本当の故郷 ではありません。
それは文句なしにハッキリしておりましょう。
※ ↑↑↑「斜体」が「坂口安吾」の文章です。
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参考サイト
安吾の新日本地理:飛騨・高山の抹殺 ⑦|まとめ
- ① 飛騨には重要な古代史記事がない?
- ② 古い交通路は海ではなく山だった?
- ③ 飛騨の諏訪 と 信濃の諏訪
- ④ 山を越えて飛騨から穂高(信濃)へ
- ⑤ 両面宿儺は日本の主であり大和の敵?!
- ⑥ 両面宿儺とヤマトタケルの類似性
- ⑦ 日本神話は「二面性の暗示」だらけ
- ⑧ 重大な史実は各地へコピペ分散?!
- ⑨ 美濃(岐阜)は古代地名原形の宝庫?!
- ⑩ 身内のケンカと日本神話
- ⑪ 元明天皇が行った妙テコリンな事
- ⑫ 壬申の乱に出てこない飛騨
- ⑬ 敗者の大友皇子と蘇我赤兄
- ⑭ 飛騨と大和と廣瀬と龍田
- ⑮ 大津皇子と美濃トキミチツクリ
- ⑯ 死をまぬがれる聖泉
- ⑰ 謀反と飛騨千光寺と両面宿儺
- ⑱ 両面宿儺と飛騨の匠
・「坂口安吾:飛騨・高山の抹殺」記事一覧
※ 当記事は、上記シリーズ「⑦」です
以上、
「安吾の新日本地理:飛騨・高山の抹殺 ⑦」についてのブログ記事でした。