白族の土公・土母を調べていて、もう一つ気になったのが、
五方・八卦・九宮
という組み合わせ。
単に土地の神へ供物を捧げるだけではなく、
家という空間を方位ごとに整理し、鎮めていく
ような祭祀になっている。
まず地面に「九宮八卦」を作る
剣川白族の奠土儀礼では、庭などに、
九宮八卦の壇
が設けられる。
別の記録では、白い粉で地面に八卦を描き、その中央付近に穴を掘る。
この穴には、
五穀
卵
その他の供物
などを納め、最後には八卦を描いた粉まで土の中へ入れて「安土」する。
つまり、
八卦を描く
↓
中央の土地を開く
↓
神々を迎える
↓
供物を納める
↓
再び土地を閉じる
という流れになっている。
東・南・西・北・中央の「五方」
儀礼で重要になるのが、
東
南
西
北
中央
という五方。
祭祀では、それぞれの方位へ供物を移し、順番に礼拝していく。
つまり、
四方向+中心
を一つの空間として扱っている。
中央だけを守ればよいのではなく、
家を取り囲む五方すべてを鎮めて、初めて家全体が安定する
という発想に見える。
土公・土母が五方を鎮める
さらに儀礼の後半では、
土公・土母
が高功とともに弓矢を使い、
五方の凶神
を順番に射る。
ここで土公・土母は、
土地にじっと座っているだけの神
ではない。
五方を巡り、土地の乱れや凶神を排除する、
家の空間全体を鎮める側
として動いている。
土公と五行がつながって見える理由
「土公」という名前だけを見ると、
五行の「土」
を思い浮かべたくなる。
ただ、白族の祭祀でさらに重要なのは、
五方
九宮
八卦
五龍
まで一緒に存在していること。
中国における土公信仰そのものについても、張麗山氏は、古い土地信仰が陰陽五行思想の影響を受けながら体系化されたことを論じている。
つまり、
土公と五行・方位思想は、後から無理に結びつけるものではなく、中国の土公信仰そのものの成立史にも関わっている。
これは日本の土公神を考えるときにも覚えておきたい。
今のメモ
白族の奠土儀礼では、
中央=家・土地の中心
周囲=四方
全体=五方
その設計図=九宮・八卦
のような構造が見える。
「土地の神」というより、
土地+方位+空間秩序
を一緒に扱う祭祀。
日本で土公神が「どの方角にいるか」を重要視されることとも、あとで比較してみたい。