白族祭祀の「桃弓柳箭」|桃の弓・柳の矢で五方の凶神を祓う

白族の土公祭祀を調べていて、一番「えっ」となったもの。

桃弓柳箭。

文字通り読めば、

桃の弓・柳の矢

という組み合わせ。

白族の剣川に残る「奠土」という土地鎮めの祭祀で、凶神を祓うために弓矢が使われている。

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五方の凶神を弓矢で射る

奠土儀礼の終盤では、

東
南
西
北
中央

という五方に対して、順番に弓矢を射る。

資料では、

東方の木系の煞
南方の火系の煞
西方の金系の煞
中央の土系の煞

など、五行と結びついた凶神を鎮める様子が記録されている。

祭祀者は五穀を撒きながら弓を射る動作をし、

「桃弓柳箭射凶神」

という句も唱えられる。

土公・土母が弓矢を持つ

ここでも登場するのが、

土公・土母。

高功が神々を招き、儀礼全体を進行する一方、

五方の凶神を実際に鎮める役

として、土公・土母が弓矢を用いる。

だから、

土公・土母
↓
五方
↓
弓矢
↓
凶神を祓う
↓
土地を鎮める

という構造になる。

土公が単なる「土の神」ではなく、

土地に侵入する凶的な力を排除する神

として描かれているのが面白い。

「桃」が日本神話にも出てくる

桃と聞いて真っ先に思い出すのが、

黄泉国から逃げるイザナギ

の話。

イザナギは黄泉比良坂で、

桃の実

を投げつけ、追ってきた黄泉軍や八雷神を退ける。

中国文化圏では桃そのものが古くから辟邪と結びついているので、

白族の桃=日本神話の桃

と単純に結ぶことはできない。

ただ、

桃を使って邪悪な存在を退ける

という構造が共通することは覚えておきたい。

柳も重要そう

そして桃だけではなく、

柳

も出てくる。

資料には、柳枝で作った弓矢についての記述もあり、

桃と柳

の双方が辟邪の弓矢と結びついていることが分かる。

このあたりは、

桃は何を意味するのか
柳は何を意味するのか
五行ではどう配置されるのか

を別途調べてみたいところ。

五行で読むとさらに気になる

以前、日本神話の黄泉の場面について、

八雷神=木
桃=金
金剋木

という五行解釈があることを知った。

今回の白族祭祀では、

土公
五方
九宮八卦
五龍
桃・柳
弓矢

が一つの儀礼の中に存在している。

そのため、

桃による辟邪も、白族祭祀では方位・五行の大きな体系の中で見る必要がありそう。

というのが今のメモ。

黄泉神話との比較についても、また別のところで考えてみたい。

参考

・羅明輝「剣川白族道教“奠土”儀式与音楽」

・張麗山『東アジアにおける土公信仰と文化交渉』

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