上毛野氏と下毛野は同系統なのか?|塚田敬章氏の説メモ

毛野国 と 上毛野国 と 下毛野国 についてどう違うのか?

整理するために、改めて塚田敬章氏のサイト(古代史レポート)を読んで整理してみた。

整理の観点として、注意しておきたいのが「上毛野氏」と「毛野」全体を同じものとして扱ってよいのかという点。

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上毛野はミャオ系と推定

塚田氏は「中国朝鮮史から見える日本2」で、虎塚古墳 などに見られる 星 などの要素を検討したうえで、

上毛野氏(紀氏系)は ミャオ系 と推定できます」

としている。

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ここで書かれているのは、あくまで上毛野氏である。

(引用:Wikipedia 虎塚古墳

茨城県勝田市中根にある虎塚古墳の石室奥壁の装飾には、 大きな赤い蛇眼紋 が二つあって、その真ん中上部に、つながった二つの三角形が描かれています。

この三角は蝶が飛んでいる姿を写したものです。

蝶が羽を閉じて止まっているなら三角は一つで済みます。

また、横から見た百歩蛇はきれいに連続する三角模様を持っていて、同じ虎塚古墳の奥と左右の壁上部にそれを思わせる連続三角が描かれています。

赤くつぶした円形も見られ、こちらはを表しているようです。

天井は真っ赤に塗られていて、これは紅葉(楓)の色である等、全てが、ここまでに挙げたミャオ族の要素(百歩蛇蝶=△星=●赤=紅葉=楓)に重なっています。

したがって、この古墳の主はミャオ系と推定できるのです。

楓の葉は、紅葉して落ちた後、春になると蘇りますから、死者の再生を願うにはもってこいの色ということでしょうか。

(引用:塚田氏は「中国朝鮮史から見える日本2」)

 

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上毛野と下毛野は同じ勢力ではない?

さらに塚田氏の「帰化人の真実4」を読むと、上毛野下毛野はむしろ別の勢力として描かれている。


日光・赤城 の神戦譚について塚田氏は、

上毛野側=呉人(ムカデ)の有力国
下毛野側=越(鹿・蛇)呉系楚(猿)の連合勢力

が戦ったものと解釈している。

昔、日光二荒山の神と赤城山の神がをめぐって争い、初めは、赤城の神が優勢であった。

日光の神は鹿島神の助言を得て、自分と血のつながりがある小野猿麿というのうまい若者を思い出し、白い鹿に姿を変え、猿麿を招いて援助を頼んだ。

赤城の神はムカデに姿を変え、日光の神はに姿を変えて戦い、ムカデが押しぎみであったが、猿麿ムカデ左目を射貫いたので、赤城の神はほうほうのていで逃げ帰った。

今でも、日光二荒山神社では赤城山に向かってを射る神事があり、赤城山の麓の神社では日光に向かってを振る神事がある

(引用:塚田氏は「帰化人の真実4」)

つまり塚田氏の説では、 上毛野 と 下毛野 は一枚岩ではないようだ。

【補足】
上記の内容を読んで、「ん?上毛野側は『ミャオ系』っていう話じゃなったの?『』なの?」と混乱するかもしれない。

そのあたりについては、

呉 の中心はミャオ系であったとされる…という前提関係がわかれば、イメージしやすいかと思う。

ちなみに、「虎塚古墳」の「」はのトーテムである。

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<ムカデメモ>
・埼玉県の「中山神社(別名 中氷川神社・氷王子社・簸王子社)は鳥居の注連縄がムカデ

では「毛野」とは?

後世の『先代旧事本紀』「国造本紀」には、もとは「毛野国」で、それが上毛野下毛野 に分かれたという伝承が残る。

ただし『古事記』『日本書紀』には、単独の地域名として「毛野国」は登場せず、最初から上毛野下毛野 という名称が使われている。

考古学的にも、5世紀には北関東に大きな政治的まとまりが存在したとする見方がある一方、古墳時代前期から上毛野下毛野 は別の文化圏だったとする研究もある。

そのため現時点では、4世紀以前から「毛野」という一つの国・勢力が存在した、と確定させないでおく。

今のところのメモ

塚田氏の説として押さえるなら、

上毛野氏=紀氏系=ミャオ系と推定

というところまで。

一方の下毛野については、塚田氏自身が上毛野とは異なる勢力を想定している。

塚田氏は別ページで「毛野氏」という大きな括りを紀氏系秦系に入れることもあるため少し揺れはあるが、少なくとも「毛野全体=上毛野氏=ミャオ系」ではないとしてメモしておく。

参考

・塚田敬章氏「中国朝鮮史から見える日本2
・塚田敬章氏「帰化人の真実4
・塚田敬章氏「中国朝鮮史から見える日本3
・国立国会図書館 レファレンス協同データベース「上毛野国・下毛野国・毛野国について
・加部二生「上毛野地域における古墳文化の特性」

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