トーテム・民族・音|呉・楚・越~ミャオ・ヤオ・トゥチャ

民族のトーテムについて。

「呉・楚・越」を中心に、ミャオ族・ヤオ族・トゥチャ族なども含めたまとめ。

まとめの対象は、塚田敬章氏の古代史レポートの内容。

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塚田敬章氏の「トーテム・民族・音」備忘録

塚田敬章氏の古代史レポートでは、古代の集団を見分ける手掛かりとして、

動物・鳥・魚・虫・植物・色・自然現象・神話・祭祀・言葉の音

などが使われている。

特に重要なのが、

呉・楚・越

だけを見るのではなく、そのさらに古い文化層として、

ミャオ族・ヤオ族・トゥチャ族・タイ系民族など

を重ねて考えている点。

また、

民族の自称や音が、日本の神名・氏族名・地名に残っている

という読み方も多く使われている。

今後ほかの神話・氏族・地名と照合するため、まとめてメモしておく。

全体のイメージ

塚田説では、中国南方にはもともと、

ミャオ・ヤオ・トゥチャなどにつながる古い南方系文化

があったと考える。

そこへ地域ごとの支配層や別民族が加わり、

などの文化が形成される。

そのため、

呉・楚・越は完全に別々の文化ではなく、さらに古い南方系文化を共有しながら、それぞれ違う特徴を持つ

というイメージになる。

塚田説では、呉人は日本列島へ比較的早く渡来した集団で、

倭人=韓人(カラヒト)=呉人

と整理される。

また、呉文化の基層にも苗系文化が含まれていたと考えている。

代表的な要素

鯰・龍・蜈蚣・狐・牛・赤

動物・鳥・魚

  • 蜈蚣
  • 鷲?
  • イルカ
  • フグ
  • 巻貝・タニシ

植物

  • 梧桐
  • ムクゲ

自然・象徴

  • 太陽
  • 地震
  • 螺旋
  • 巨人・大人

アカルヒメの、

日光 → 赤い玉 → 姫

という神話も、塚田氏は呉系の始祖伝承として注目している。

楚では、

猿・熊・牛・雷・青

などが特に重要な要素として挙げられる。

代表的な要素

  • 楽器
  • 火・竈

楚文化そのものにも、苗系・トゥチャ系など南方民族の文化が含まれていたと塚田氏は見ている。

呉系楚人

塚田氏が特に重視するのが、

呉人が楚へ入り、楚文化を取り込んだ集団

である「呉系楚人」。

堂谿氏が代表例になる。

塚田氏は、

「呉系楚人は呉の要素をすべて含む」

としている。

つまり、

呉の要素+楚の要素

が同時に現れる。

代表要素

鯰・猿・牛・雷・亀・橘・熊・青

さらに呉側の、

龍・赤・竹・楠など

も含む。

  • 百舌
  • カラス
  • 木菟
  • ミソサザイ
  • トビ

動物

  • カモシカ
  • イタチ

植物

  • ワラビ
  • ウラジロ
  • 菖蒲
  • 椿
  • 小豆

自然・天体

  • 北斗七星・妙見
  • 青・緑

日本側で塚田氏が関連させる神

  • 須佐之男命
  • 少彦名神
  • 天之日矛
  • 天之穂日命
  • 猿田彦命
  • 天鈿女命
  • 月読命
  • 金山彦神
  • 大山咋神
  • 一言主神
  • 五十猛神
  • 宗像三女神
  • 天児屋根命
  • 火雷神

猿田彦・天鈿女などにの要素を見るのも、塚田説の特徴。

塚田氏は越を単一民族とは考えず、

ヤオ族・トゥチャ族・ミャオ族などが混在する複合的な集団

としている。

代表的な要素

蛇・雷・鹿・鰐・狗・子規・白

動物・鳥

  • 鹿
  • 狗・犬
  • 猫・狸
  • カワウソ
  • ホトトギス
  • 川雁
  • キツツキ

植物

  • クヌギ・楢
  • アヤメ

自然・象徴

  • 太陽
  • 竜巻

日本側で塚田氏が関連させる神

  • 大国主神・大物主神
  • 建御雷神
  • 経津主神
  • 建御名方神
  • 天照大神
  • 高御魂神
  • 事代主神
  • 菊理姫
  • 綿津見三神
  • 住吉三神
  • 大山津見神
  • 石凝姥命
  • 思兼命

塚田氏はこの越系・邪馬壱国系から、

物部氏・和邇氏・春日氏・大伴氏・忌部氏・高橋氏など

多数の日本氏族を導いている。

ミャオ族(苗族・モン)

塚田説を理解するうえで、かなり重要な古層。

モン(Hmong)

はミャオ系民族の自称として扱われている。

塚田氏は中国史書などに出る「毛人」についても、

モンという音を漢字で写したもの

と考えている。

主な文化・象徴

  • 瓢箪
  • 洪水
  • 巨石・山岩
  • 大樹

ミャオ族神話では、






人類・民族の祖

という系譜が語られる。

塚田氏は、

蝶・蛇・瓢箪

をさらに古い南方文化の基層として重視している。

「モン」という音

塚田氏は、

モン=ミャオ系の自称

として、日本側の言葉や漢字にもその音を探している。

たとえば、

門(モン)

の中に牛や蛇を表す字形が入る漢字について、苗系文化との関連を考察している。

また、中国史書の毛人も「モン」という音を写したものだとする。

ヤオ族(瑤族)

越を構成する重要な民族として登場する。

塚田氏は、越王勾践の王族とヤオ族を結びつけている。

中心トーテム

犬・狗

始祖神話には、

槃瓠(ばんこ)

という犬の始祖が登場する。

主な関連要素

  • 犬・狗
  • 鹿

「マン」という呼び名

塚田氏によれば、ヤオ族は他民族から、

ヤオ

のほか、

マン

と呼ばれる場合がある。

この「マン」はの呉音との関係を考えている。

「ミエン」という自称

ヤオ族の自称として、

ミエン

が出てくる。

「人」を表す語として、

ト・ミエン

が紹介されている。

塚田氏はこのミエン/ミエという音を日本側にも探している。

たとえば伊賀の、

都美恵(ツミエ)神社

について、ミエンというヤオ族の自称との関連を考えている。

しかも同社の旧称が石上社だったことから、

物部氏・邪馬壱国系

との接続も見ている。

「耳(ミミ)」との関係

ヤオ族の始祖・槃瓠について、

耳から生まれた虫が犬になった

という伝承がある。

塚田氏はここから、

耳=犬トーテムを示す象徴

と考え、

日本古代の、

スエツミミ 玖賀耳 弥弥

など、「ミミ」を称号・名前に持つ人物をヤオ系と関連づけている。

トゥチャ族(土家族)

塚田氏は、

楚と越の両方に関係する南方系民族

としてトゥチャ族を重視している。

中心的な要素

塚田氏はトゥチャ族について、

「蛇中の蛇」

というほど、蛇文化を強く持つ集団として扱っている。

楚と越の両方に蛇文化が見える理由の一つとして、トゥチャ系文化の存在を考えている。

ミンチャ族/民家族

塚田氏の古い資料では、

ミンチャ(民家)族=トゥチャ(土家)族

という名称でも登場する。

楚との接続

楚王室の姓である、

羋(ミ/ビ)

と、

トゥチャ族の自称ビツカ

などの音を比較し、楚民族の構成要素を考えている。

タイ系民族

楚文化を考えるときの重要な比較対象。

塚田氏は楚の下層言語・文化について、

タイ系文化との関係

をかなり重視している。

代表的な要素

鶏・闘鶏

楚系に鶏トーテムを加える根拠の一つとして、タイ系民族の闘鶏文化などを比較している。

モン・クメール系

塚田氏は、日本へ来た弥生系集団の言語について、

ミャオ・ヤオ系 モン・クメール系 タイ系

など、中国南方~東南アジアの言語との関係を考えている。

ここでいうモン・クメールの「モン」は、ミャオ族の自称Hmongとは別の民族・言語名なので注意。

「ホト」という音

ホトは民族名ではない。

塚田氏は、

越系・邪馬壱国系の集団に関係する自称・音

として扱っている。

邪馬壱国系の主な象徴である、

蛇・鹿・鰐・狗

と結びつけている。

塚田氏によれば、

ホトという自称

が、他民族側の「女性器」を意味する言葉と重なったため、

蛇がホトに入る

という形の説話が残ったと考える。

日本神話との接続

ここから、

伊邪那美命

が火神カグツチを産んだ際、

ホトを焼かれて死ぬ

という神話を民族間の象徴表現として読む。

さらに、

倭迹迹日百襲姫

が箸でホトを突いて死ぬ話も、同じ系統の象徴として扱っている。

ホトタタライススキ姫

神武天皇の后である、

媛蹈鞴五十鈴媛命
=ホトタタライススキ姫

の「ホト」にも注目する。

塚田説ではこの姫を、

神武以前の邪馬壱国王家・物部系につながる女性

として読む。

「毛人」とモン

塚田氏は、中国史料や倭王武の上表文に出る、

毛人

について、

ミャオ族の自称「モン」を写したもの

と考えている。

つまり塚田説では、

毛人=アイヌ

とはしない。

南方苗系民族を表した言葉

として読む。

塚田説で日本側に残るとされる「音」

塚田氏は、越・邪馬壱国系について、

アチ・アヂ・アツ・アヅ
アナ
アマ
オホ
カシマ
クボ
クリ
クロ
シケ
シブ
トミ
ハヤ
フツ
ホト
マン

ミカ
ミエ
ヤオ
ヤス

など多数の音を挙げている。

これらを、

神名・氏族名・地名

に残った民族語の痕跡として探している。

たとえば、

ミエ
→ ヤオ族の自称ミエン
→ 都美恵神社

ミミ
→ 犬・ヤオ系象徴
→ スエツミミ、玖賀耳など

ホト
→ 邪馬壱国系の自称
→ イザナミ、百襲姫、ホトタタライススキ姫

モン
→ ミャオ族の自称
→ 毛人など

といった対応を考えている。

日本の氏族との対応

塚田氏が越・邪馬壱国系の後裔として挙げる氏族は非常に多い。

  • 物部氏
  • 和邇氏
  • 春日氏
  • 柿本氏
  • 小野氏
  • 安曇氏
  • 久米氏
  • 三輪氏
  • 吉備氏
  • 額田部氏
  • 尾張氏
  • 伊福部氏
  • 穂積氏
  • 佐伯氏
  • 忌部氏
  • 小子部氏
  • 大伴氏
  • 阿倍氏
  • 膳氏
  • 多氏
  • 坂合部氏
  • 若桜部氏
  • 高橋氏
  • 志紀県主
  • 文氏
  • 漢氏
  • 隼人
  • 蝦夷

塚田氏は、特に

物部氏・和邇氏・春日氏・大伴氏など

を、

蛇・鹿・狗・鰐などを持つ邪馬壱国=越系文化

の中に置いている。

南方系文化を一番古い層から見ると

塚田説をかなり単純化すると、

古い南方系文化

ミャオ
ヤオ
トゥチャ
タイ系など

共通する古層として、

蛇・蝶・瓢箪・自然崇拝

そこから分化・混合

龍・鯰・赤・太陽・竹・楠

猿・熊・牛・雷・石・橘・青

呉系楚

呉+楚

龍・鯰・竹・楠

猿・熊・牛・雷・橘・松・青

蛇・鹿・狗・鰐・雷・石・白

内部に、

ヤオ・トゥチャ・ミャオ

など複数の民族要素を持つ。

今後、日本側で特に照合したいもの

龍・蛇 鷲・鷹 鹿 岩・石 赤・青・白

そして動植物だけではなく、

モン・マン・ミエン・ミミ・ホト

などの「音」。

神名・氏族名・地名・祭祀に、

同じ系統の動物・植物・色・音が複数重なって現れるか

を見ていきたい。

主な参照ページ

・塚田敬章氏「中国、朝鮮史から見える日本、1~3」
・「中国、朝鮮史から見える日本、2/越の民族とそのトーテム」
・「中国、朝鮮史から見える日本、3」
・「縄文の逆襲2」
・「縄文の逆襲3」
・「堂谿氏(秦氏の源流)」
・「帰化人の真実」シリーズ
・「邪馬壱国、魏志倭人伝の風景」

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