呉系楚の鳥トーテムはミャオ系に由来する?|卵生神話と「鳥」の話

塚田敬章氏が呉系楚のトーテムとして挙げる鷹・鶏・雀などの鳥類。

ミャオ族の支系に残る鳥・鷹・鶏のトーテムや、楓・蝶母・卵・孵化という創世神話と重ねながら、鳥文化がミャオ系に由来する可能性をメモする。

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呉系楚トーテムの「鳥」類のついて

塚田敬章氏がまとめる「呉系楚」のトーテムを見直していて、どうしても気になったことがある。

呉系楚には、

鷹・鶏・雀・ミソサザイ・カラス・鳩・木菟・鴨・鷺・トビ・鵜

など、やたらと多くの鳥類が並んでいる。

一方で、塚田氏が挙げる楚そのもののトーテムには、鳥類がほとんど見えない。

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では、この鳥たちはどこから来たのだろう?

ここで気になったのが、呉の基層にいたとされるミャオ系民族である。

ミャオ族の主なトーテムは「楓」と「蝶」

ミャオ族の代表的なトーテムとしてよく挙げられるのが、

である。

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『苗族古歌』などに残る創世神話では、楓から蝶母が生まれ、蝶母が卵を産み、その卵から人間や神、動物たちが生まれる。

流れをかなり単純化すると、

楓
↓
蝶母
↓
卵
↓
人・雷・龍・虎・蛇など

という構造になっている。

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この神話で面白いのは、ミャオ族の祖先だけが特別に生まれるのではなく、雷や龍、虎など、後に別種族や別トーテムとして見える存在まで、同じ卵から生まれた兄弟として描かれる こと。

つまり、ミャオ族の祖先神話そのものが、万物の系譜につながっているように見える。

「楓」は生命の木のようにも見える

この構造を見ると、楓は単なる神聖な木というより、

生命を生み出す根元の木

に近い。

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楓から蝶母が生まれ、
蝶母から卵が生まれ、
卵からさまざまな生命が分かれていく。

そのため、

楓=生命の木
蝶母=始祖母
卵=生命の原型

のように見ることもできそうである。

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特に「卵」は重要で、まだ人にも龍にも雷にもなっていない、分化前の生命そのものを表しているように見える。

卵を孵すのは「鳥」

さらに気になるのが、蝶母の産んだ卵を鳥が孵すという点。

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つまりミャオ族の創世神話では、鳥は単に卵を産む動物なのではなく、

卵の中にある生命を、この世界へ誕生させる存在 として登場している。

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この構造を考えると、

卵=生命
鳥=生命を孵化させる存在

という結びつきがかなり強い。

ミャオ族の支系には鳥・鷹・鶏のトーテムがある

ミャオ族全体の代表トーテムとしては楓や蝶が有名だが、支系ごとに見ると鳥類もかなり重要である。

たとえば、

鳥
鷹
鶏

などをトーテムとする支系が知られている。

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貴州周辺のミャオ族の一支では、鳥を強く意識した文化が残り、百鳥衣や鳥文様なども見られる。

「雀」あるいは「鳥雀」と結びつけて解釈される支系名も確認できた。

つまり、

ミャオ族全体=鳥トーテム

ではないものの、

ミャオ族の内部には、鳥を強く持つ支系が複数存在する

ということになる。

呉系楚の鳥トーテムはミャオ由来?

ここで、塚田氏のトーテム分類に戻る。

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塚田氏によると、

呉には鳥類が少数ながら見られる。(雉(キジ)・鷲?)

一方、楚では鳥類が目立たない。

ところが、

呉系楚になると、鷹・鶏・雀 をはじめ、一気に多くの鳥類が現れる。

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この違いを見ると、

呉系楚の「鳥トーテム」は、楚由来ではなく、呉の基層にいたミャオ系民族の文化を引き継いだものではないか?

という疑問が出てくる。

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特に、

鷹
鶏
雀

は、ミャオ系民族の支系に見られる鳥文化とも重なっている。

「卵生神話」と鳥トーテムはつながる?

ミャオ族にとって鳥が重要になった背景には、卵生神話そのものが関係している可能性もありそうである。

ミャオ神話では、

蝶母が卵を産み
鳥がその卵を孵し
そこから万物が生まれる。

つまり、

卵=生命の源
鳥=生命を孵す存在

という世界観がある。

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そのため、各支系で鷹や鶏、雀など異なる鳥がトーテム化していったとしても、それほど不自然ではない。

呉系楚の「鳥」はどこから来たのか

今のところ気になっている流れは、

ミャオ系民族
↓
呉
↓
呉系楚
↓
日本の氏族

というもの。

塚田氏は、日本へ渡来した時点の集団を「呉」「楚」「呉系楚」「越」などに分けてトーテムを整理している。

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そのため、仮に鳥文化の古い起源がミャオ系にあったとしても、日本へ来た段階では「呉系楚のトーテム」として分類されている可能性もある。

以前まとめた呉・楚・呉系楚・越のトーテム一覧を見ると、楚には鳥がほとんど見えないのに、呉系楚では鳥類が急増する。

この違いは、呉系楚に含まれていたミャオ系文化の名残として見ることができるのかもしれない。

今後は、呉系楚に挙げられる

鷹・鶏・雀・カラス・鳩・木菟・鷺・トビ・鵜

などについて、ミャオ族の各支系や伝承に同じ鳥がどこまで残っているのか、もう少し詳しく追ってみたい。

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