日本神話によく出てくる「雀≒鷦鷯(ミソサザイ)」について調べている中で気になった話。
鷦鷯(ミソサザイ)の古名「ササキ/サザキ」を追っていて、ふと気になったのが「ササ=笹」という可能性。
さらに「陵(ミササギ)」の古い形にも「ミササキ」がある。
笹・ササキ・大鷦鷯・ミササキ。この音の重なりをメモしておく。
<関連記事>
・トーテム|呉・楚・越 を象徴する動植物・自然物
(笹は楚のトーテムのひとつ)
・「スズメ」についての記事一覧
・「コトバと音」についての記事一覧
・「トーテム」についての記事一覧
・「塚田敬章説」についての記事一覧
目次
鷦鷯(ミソサザイ)の古名は「ササキ」
鷦鷯(ミソサザイ)は、古くは
ササキ/サザキ
と呼ばれていた。
仁徳天皇の名前も、
『日本書紀』では
大鷦鷯尊(オオサザキ)
『古事記』では
大雀命(オオサザキ)
と記される。
ここで気になったのが、
ササキの「ササ」は、「笹」と関係あるのか?
ということ。
「ササ」といえば笹
日本語には古くから、
笹=ササ
という言葉がある。
『古事記』の天岩戸の場面にも、
天香山の小竹葉(ササバ)
が登場する。
【補足】
『古事記』の天岩戸の場面では、天宇受売命が神懸かりして舞う際、天香山の小竹葉(ササバ)を手に持つ。
つまり、ササ=笹は記紀神話の祭祀場面にも登場する植物。
しかも天岩戸は、天宇受売命・天児屋根命・布刀玉命らが祭祀を行う重要な場面なので、笹が祭祀具の一つとして使われている点も気になる。
となると単純に、
ササキ
↓
ササ+キ?
と分けてみたくなる。
そして、
ササ=笹
ではないのか?という疑問が出てくる。
もちろん、現在のところ
鷦鷯の「ササキ」が笹に由来する
と決まっているわけではない。
ただ、「ササ」という音そのものは気になる。
塚田敬章氏の説では「笹」は楚・呉系楚の要素
さらに気になるのが、塚田敬章氏の古代史説。
塚田氏は、
笹
を、
楚系、あるいは呉系楚人に引き継がれた文化要素 として扱っている。
<参考>
・トーテム|呉・楚・越 を象徴する動植物・自然物
・
・
端午の節句に関係する、
茅・笹・菖蒲
などの植物を楚系文化と結びつけており、
さらに楽楽福(ササフク)の「ササ」についても、
笹や酒と関連づけながら呉系楚の要素として見ている。
<関連サイト>
・楽楽福神社
つまり塚田説の中では、
ササ=笹=楚・呉系楚文化につながる音
として読む材料がある。
「ササキ」も呉系楚文化と関係する?
ここで、これまで調べてきた内容と重ねると面白い。
塚田氏が呉系楚人に関係する鳥として挙げる中には、
ミソサザイ
も含まれている。
・
・
すると、
笹(ササ)
↓
楚・呉系楚の植物
ミソサザイ(ササキ/サザキ)
↓
呉系楚文化圏圏に現れる鳥
という二つが重なる。
・
・
もし「ササキ」の「ササ」が笹と関係しているなら、
笹を象徴とする文化と、ササキという鳥を象徴とする文化が同じ背景を持っていた可能性
も考えてみたくなる。
さらに「陵(ミササギ)」にもササキが見える
そして、もう一つ気になるのが、
陵(ミササギ)
という言葉。
陵は古くから、
ミササキ/ミサザキ
とも読まれている。
・
・
一方、鷦鷯も、
ササキ/サザキ
と呼ばれる。
並べると、
鷦鷯
= ササキ/サザキ
陵
= ミササキ/ミサザキ/ミササギ
となる。
・
・
ここから、
ミ+ササキ
↓
ミササキ
という構造を考える説もある。
先に「サザキ」という鳥・集団がいた?
ここで、私が今のところ一番気になっているのは、
「笹(ササ)」が先なのではなく、「サザキ/サザイ」という鳥の方が先だったのではないか?
ということ。
・
・
鷦鷯(ミソサザイ)は、
サザキ/サザイ
とも呼ばれる。
・
・
もしこの鳥が、ある氏族や集団にとって重要なトーテムだったとすれば、
「サザキ」という鳥名や、それを象徴とする集団の存在が先にあった
可能性も考えてみたい。
<関連記事>
・スズメ|ミャオ系に残る「鳥」と「雀」の話
「笹」が神聖なのは、サザキと関係する?
そのうえで気になるのが、
笹=ササ
という植物名。
もし「サザキ」という鳥や、それを象徴とする集団が古くから神聖視されていたのなら、
同じ「ササ」に近い音を持つ笹も、その象徴と結びついて神聖視されたのではないか?
という見方もできる。
あるいは逆に、
神聖な植物に、その集団を表す「ササ」に近い音の名が付けられた
可能性もある。
塚田敬章氏の整理では、
笹
も、
ミソサザイ
も、
楚・呉系楚文化に関係する要素として現れる。
<関連記事>
・トーテム|呉・楚・越 を象徴する動植物・自然物
だとすると、
笹とサザキが同じ文化圏に現れること自体
も気になる。
「ミササキ」は「御+サザキ」?
さらに気になるのが、
陵(ミササギ)
という言葉。
陵は古くから、
ミササキ/ミサザキ
とも読まれている。
一方、鷦鷯は、
サザキ/サザイ
と呼ばれる。
並べると、
サザキ
↓
御(ミ)+サザキ
↓
ミサザキ/ミササキ
という近い音の並びが見えてくる。
もし先に、
サザキという鳥を象徴とする人物・氏族・集団
がいたのなら、
その人々に関係する墓が、
御サザキ
のように呼ばれ、
やがて天皇・皇族の墓を表す
陵(ミササギ)
という言葉になった可能性はないだろうか。
仁徳天皇=大鷦鷯も重なる
そして、その中心にいるのが、
仁徳天皇=大鷦鷯(オオサザキ)。
仁徳天皇自身が、
サザキ
という名を持っている。
さらに、その陵は、
百舌鳥耳原
にある。
・
・
ここまで並べると、
鷦鷯=サザキ/サザイ
↓
サザキを象徴とする人物・集団?
↓
仁徳天皇=大鷦鷯(オオサザキ)
↓
陵=ミササキ/ミサザキ/ミササギ
という流れがまず気になる。
・
・
そして、その周辺に、
笹=ササ
という近い音を持つ神聖な植物が存在する。
・
・
サザキという鳥
笹という植物
大鷦鷯という皇統名
陵(ミササキ/ミサザキ)という墓の呼称
は、
単に似た音が偶然並んでいるだけなのか、
それとも「ササ/サザ」という近い音を共有する文化の痕跡なのか。
このあたりを、今後もう少し追ってみたい。
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