雀と製鉄は関係する?「ササ」「砂鉄」から考える雀伝承

日本各地の雀に関する伝承を調べていると、意外なところで製鉄とのつながりが見えてくる。

きっかけになったのは、岩手県盛岡市の雀神社に残る「片目の雀」の伝承だった。↓↓↓

・岩手の雀神社|片目の雀になった巫女の伝承

日本では「片目」「一つ目」といった特徴が製鉄や鍛冶と結びつけて語られることが多い。

では、雀そのものにも製鉄との関係があるのだろうか。

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雀は「ササ」とも読まれる

「雀」という字は現在は「スズメ」と読むが、古い人名では別の読み方が残っている。

代表的なのが仁徳天皇の名、

大鷦鷯尊(オオサザキノミコト)

である。

「雀」の字を用いた表記でも、サザキ・ササに近い音が現れる。

ここから「雀=ササ」という古い音に注目し、製鉄との関係を考える説がある。

「ササ」と砂鉄

相原精次氏は、東北に残る藤原実方の伝承を調べる中で、

雀=ササ
ササ=細かな砂・砂鉄などの鉱物

という関係に注目している。

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藤原実方には、死後、その霊が雀となって京都へ戻ったという「入内雀」の伝承がある。

相原氏は、宮城県名取周辺など、実方伝承地と鉱山・製鉄に関係する土地が重なる例に注目している。

そこで、雀となったという話の背景に、産鉄や鉱物資源を探す人々の活動があったのではないかと考えている。

つまり、

雀
↓
ササ
↓
細かな砂・砂鉄
↓
製鉄

という読み方である。

雀神社の周辺にも製鉄の影?

雀と製鉄を結びつけて考えたくなる例は他にもある。

「雀神社」についてだ。

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この記事を考えるきっかけになったのは、岩手県盛岡市湯沢の雀神社に残る「片目の雀」の伝承だった。

ただし、今のところ、この岩手の雀神社周辺に製鉄遺跡や砂鉄採取などの直接的な製鉄の痕跡があったことまでは確認できていない。

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一方、これ(岩手)とは別の神社になるが、茨城県古河市の 雀神社 の周辺には「製鉄の痕跡」が見受けられる。

<雀神社:祭神>
・大己貴命
・少彦名命
・事代主命

古河の旧城下に「鍛冶町」があり、現在その区域にある竹駒稲荷神社の境内社として金山神社が祀られているのだ。

<竹駒稲荷神社:祭神>
・稲荷神
・宇迦之御魂神

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・

また、隣接する野木周辺には、砂鉄を求めて製鉄・鍛冶に携わった人々が暮らしていたという伝承も残る。

そのため、「雀」という名前を持つ神社と製鉄文化との関係について考察する説もある。
茨城県古河市の雀神社周辺には、鍛冶や金山神に関係する地名・神社があり、製鉄集団との関係を考察する説もある。

また、日本各地では製鉄に関係する神や妖怪に、

一つ目
片目
一本足

といった特徴が現れる。

そのため、「雀」という名前だけでなく、雀伝承の周辺にこうした特徴が重なっていないかを見るのも面白い。

「スズメ」の「スズ」も気になる

もう一つ気になるのが、雀を現在の読みであるスズメとして考えた場合。

真弓常忠氏は『古代の鉄と神々』の中で、湿地などにできる褐鉄鉱を「スズ」と呼び、古代の鉄資源と鈴の祭祀との関係を論じている。

ただし、

スズメの「スズ」=褐鉄鉱の「スズ」

とする説が確認できているわけではない。

ここは別に調べる必要がある。

それでも、

雀=ササ → 砂鉄
スズ → 褐鉄鉱
片目 → 製鉄

と、雀の周囲には不思議と鉄を連想させる要素が集まってくる。

今のところ「雀は製鉄の鳥だった」とまでは言えない。

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ただ、各地の雀神社や雀伝承を見ていくとき、

近くに鉱山・砂鉄・鍛冶・金山神・片目伝承などがないか

を一緒に確認していく価値はありそうだ。

今後も気になる例が見つかれば追記していきたい。

追記|雀ノ森氷川神社に残る「金神」の話

この記事を書き終えたあと、別の雀神社・雀伝承を見直していて、もう一つ気になる話に気づいた。

埼玉県川越市新宿町にある雀ノ森氷川神社についてだ。

以前は、読み落としていたが、「東国の金神の総社」とされたという伝承が紹介されている。↓↓↓

延喜12年(912)には空海の刻んだ金毘羅尊像を天慶二年源経基公から当社へ寄附され、天皇の勅願により東国の金神の総社とされたといいます。

 

戦国時代に荒廃、”稲荷の里”へ移されていたものの、永正年中再び旧地に戻り新宿の鎮守として祀り“雀の森”(鎮めの森)と称し、氷川社と改めたといいます。

・

<引用サイト>
・猫の足あと|雀ノ森氷川神社

雀ノ森氷川神社は、以前から「雀」という名前そのものが気になっていた神社で、社名についても「雀の森=鎮めの森」と説明される。

本殿裏には、何故か「雀の石碑」がある謎が多い神社である。

雀ノ森氷川神社の「雀」

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・

ただ今回あらためて見ていて気になったのは、「雀」や「鎮め」よりも、

金神

という言葉だった。

金神は一般には方位神として知られるが、文字通り「金」の字を持つ神でもあり、金属・鍛冶・製鉄との関係を連想したくなる。

もちろん、

「金神」と書かれているから、そのまま製鉄神だった

とまでは言えない。

ただ、この記事で見てきたように、

雀
ササ
砂鉄
片目・一つ目
鍛冶・製鉄

という要素を追っている中で、別の「雀」を名乗る神社から「金神」という言葉が出てくるのは、かなり気になる。

しかも雀ノ森氷川神社は、単に金神を祀る一社ではなく、

「東国の金神の総社」

とまで伝えられている。

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もし「雀」という名前と金属文化の間に何らかの古い関係があったとすれば、この神社の伝承も、その手がかりの一つになるかもしれない。

今のところは詳しく広げず、

「雀」を名乗る神社に、金神信仰が重なっている例がある

という点だけ、後から気づいたメモとして残しておく。

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