酒について調べていると、「酒の神」「酒造の神」とされる神が意外と多いことに気づく。
大物主神、大山咋神、大山祇神、木花咲耶姫命 など、名前を並べるとかなり系統が違って見える神々が、それぞれ酒と深く結びついている。
今回は、酒に関係する代表的な神々と、その神がどのような形で酒と結びついているのかを整理しておく。
酒に関わる神を整理しておく
酒について調べていると、思った以上に「酒の神」とされる神が多い。
ただし、
・酒そのものの神
・酒造りの神
・杜氏の祖神
・酒造神として信仰されるようになった神
など、少しずつ立場が違う。
ひとまず、よく名前が出てくる神を整理しておく。
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大物主神|三輪の酒神
奈良県の大神神社の御祭神。
大神神社では、大物主神を酒造りの神として明確に紹介している。
『日本書紀』崇神天皇紀には、高橋邑の活日が大物主神に捧げる酒を造った話が登場する。
活日は神酒を天皇に捧げ、
「この神酒は我が神酒ならず、倭なす大物主の醸みし神酒」
という歌を詠んだとされる。
つまり、
大物主神
↓
三輪
↓
高橋活日
↓
神酒
という非常にはっきりした酒のラインがある。
高橋活日命|杜氏の祖神
高橋活日は神そのものとして登場する人物ではないが、現在は大神神社摂社の活日神社に祀られている。
大神神社では「杜氏の祖先神」として紹介され、酒造関係者から篤く信仰されている。
個人的には、
高橋 × イク × 大物主 × 酒
という組み合わせも引き続き気になる。
大山咋神|松尾大社の酒造神
京都の松尾大社の御祭神。
大山咋神そのものが『古事記』で酒を造ったという話ではないが、松尾大社は古くから酒造の神として信仰されてきた。
ここでは秦氏との関係が重要。
松尾大社によれば、秦氏は松尾山の神を氏神として祀り、酒造を得意としていたという。
その後、松尾大社は「日本第一酒造神」として信仰されるようになった。
そのため、
大山咋神
↓
松尾大社
↓
秦氏
↓
酒造
というラインになる。
これは、塚田氏が「酒(松尾、ミキ)」を呉系楚の要素としていることとも重なる。
大山祇神|酒解神
京都の梅宮大社では、
酒解神(サカドケノカミ)=大山祇神
とされている。
神名そのものに「酒(サカ)」が入っているのが気になる。
梅宮大社は古くから酒造の神として知られており、酒造安全を祈願する神社でもある。
木花咲耶姫命|酒解子神
同じく梅宮大社では、
酒解子神=木花咲耶姫命
とされる。
・
・
伝承では、木花咲耶姫が稲を取って天甜酒(アメノウマザケ)を造ったとされ、これが梅宮大社が造酒の神として信仰される理由の一つになっている。
・
・
つまりここでは、
大山祇神=酒解神
木花咲耶姫=酒解子神
という親子が、そろって酒に関わっている。
少彦名神
少彦名神も、酒造・醸造と結びつけて信仰される神の一柱。
大国主神とともに国造りを行い、医薬・温泉などとも深く関わる神で、酒もまた薬や発酵と近い世界にある。
大物主神との関係も含めて、酒の神を追う際には気にしておきたい神。
酒の神を大きく分けると
今のところ、特に大きく見えるのは次の三つ。
【三輪】
大物主神
+高橋活日命
=神酒・杜氏
大山咋神
+秦氏
=酒造
大山祇神=酒解神
+木花咲耶姫=酒解子神
=天甜酒・造酒
同じ「酒の神」でも、それぞれ背景がかなり違う。
そして名称を見ると、
三輪:ミキ(神酒)
梅宮:サカドケ(酒解)
松尾:秦氏と酒造
となる。
前の記事で気になった「ミキ」と「サカ/サケ」という二つの酒の言葉が、神々の伝承の側にも現れてくるのが面白い。
今後は、この酒神たちがどの氏族・どの地域・どの系統と結びついているのかも合わせて見ていきたい。
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